介護留学生「お礼奉公」と、甘い罠

5月26日の日経電子版に『介護留学生「お礼奉公」に悩む、海外人材担う福祉に影』という記事が掲載されていました。

 

「特定の施設(法人系列施設)で働くことを条件に、留学費用等を免除する」という枠組みで、留学生を募集するというものですが、労働基準法の職業の自由違反する(参考:社長のための労働相談マニュアル『看護師のお礼奉公』)ため、卒業後に介護施設で働くことを明文化できず、「施設の思惑」「学校の思惑」「エージェントの説明」「学生の受取」で矛盾が生じているわけです。※

 

2018年後半から、2019年にかけて、私が営業している先のお客様が、ベトナムの学生を募集するときの悩みとしてベトナムエージェントが、介護施設と組んで無料で授業を受けさせてくれる日本語学校があるのに、お金を払って勉強させると言っても学生が集まりませんよ。と言われるということでした。

 

仕組みの矛盾を「問題だ」と認識している方は、自分たちは「後々問題がでる可能性が高いことはやらない」とおっしゃいます。

 

しかし、非常に強力な「甘い罠」で、ある事も事実で、私などがお力になることもできず「私も、いずれ問題になると思っていますので、このような事はしない方という方針は素晴らしいと思います」とお伝えするのが精一杯でした。

 

結局、ベトナム留学市場は「矛盾を含んだ無料」に荒らされ、「提供するサービス」に対して「対価」を支払うという当たり前のモデルは、通用しなくなってきていました。

現在、コロナという別の大波が来たため、この問題はうやむや状態となっています。

 

 

もちろん、世の中にあるすべての無料サービスが問題を持っているわけではなく、「別の仕組みで健全に利益を生み出す」ことで、成功しているモデルも数多くあるかと思います。

 

すでに、この仕組みで留学生が来ており、本人も介護施設側も納得しており、本人負担が少ない為に、助かっている留学生も多くいます。

 

このような仕組みや選択肢があることは悪いわけではありません。むしろチャンスがない方にとってはありがたいものになります。ただし、一番大切なことは、当事者同士の中で、透明性のある内容の把握と、納得感があることか重要かと思います。

 

しかし、「無料」があふれる時代だからこそ、なぜ「無料」なのかを深く考える必要があるということを改めて認識させられる記事でした。

なぜなら、日本語教育を含め「無料」で提供しつづけられるサービスは存在しないのですから。

 

 

※地域によっては、県などの地方自治体が補助を出しています。『自治体の中の施設』という制約はありますが、今回の記事とは内容が異なります。

 

 

株式会社OneTerrace

スクールソリューション部

ビジネスマネージャー

井上智之